久しぶりのブログ投稿となる。新型コロナにより当院デイケアも外出プログラムが全く組めないことより、プログラムの一環として私による「デイケア健康講座」なるもので「免疫力を高める日頃の心掛け」と題して1時間ほど4月30日(木)にレクチャーする予定です。その時の参考資料の一部をブログに掲載しました。

免疫力を高める日頃の心掛け

出来るだけ身体を動かす→運動習慣をつける。
1日30分くらいの軽い運動を週に3~4回続ける。出来れば楽しみながらの運動が好ましく、楽しいと感じると脳から快感物質β―エンドルフィンが分泌されNK細胞を活性化させる。さらに運動による体温上昇がNK細胞、好中球、マクロファージなどの免疫細胞が活性化させる。逆に体温が1℃低下すると免疫力が30%低下すると言われている。

睡眠を質的、量的にもしっかりとることが免疫力を高める。
睡眠は神経や精神機能の究極の休息と言われている。神経機能すなわち交感神経(活動神経)と副交感神経(休息神経)の働きのバランスが崩れると免疫力が低下する。ストレスが過剰に続くと副腎からアドレナリンが分泌されて交感神経が過剰に緊張し免疫力が低下する。睡眠中は交感神経の緊張から解放され、副交感神経が優位になり心身共にリラックスしNK細胞やT細胞が活性化され癌細胞やウイルスなどへの攻撃力が強まる。病原菌に感染するとマクロファージからサイトカインという物質が分泌されるがそのサイトカインは眠りを誘発させて免疫力を高めることに繋げる。

腸内環境を意識した食習慣を身につける。
「腸脳相関」というように腸と脳は密接な関係があり、腸は第2の脳とも言われている。人の感情や気持ちを決定する物質、ドーパミンやセロトニンの素となるもののほとんど腸で作られる。人の免疫細胞の70%は腸に集積されて、腸内細菌から様々な情報(病原菌の抗原性等)を得ているだけでなく免疫細胞を活性化させる(戦闘能力を高める)重要な作用も有する。良好な腸内環境とは腸内細菌の善玉菌、悪玉菌、日和見菌の割合が非常に重要である。人の腸内細菌は数百種類で60兆個~100兆個あり、重さにすると1人の人の中に1~1.5㎏あると言われる。腸内細菌は腸内フローラ(腸内細菌叢)に関しては善玉菌、悪玉菌、日和見菌の割合が2対1対7が理想と言われている。理想的な腸内環境を得る、そして保つには日頃の食生活が非常に重要となってくる。善玉菌のエサになるように食物繊維やオリゴ糖(プレバイオティクス)を摂り、乳酸菌やビフィズス菌が含まれた食品(プロバイオティクス)を摂ることが重要となる。腸内フローラに関してまとまった記載されたものを以下に添付します。

 腸内フローラ(腸内細菌叢)
ヒトの腸管内では多種・多様な細菌が絶えず増殖を続けています。これらは腸内細菌と呼ばれ、個々の菌が集まって複雑な微生物生態系を構築しています。この微生物群集を「腸内フローラ」または「腸内細菌叢」と呼んでいます。フローラ(Flora)は分類学の用語で植物群集を指しますが、かつては細菌が植物の中に分類されていたためです。また、ギリシア神話の花の女神をも意味しています。腸内細菌の数はおよそ100兆個、その種類は一人あたり数百種にのぼり、その構成は食習慣や年齢などによって一人ひとり異なっています。
この腸内フローラは、ヒトに対して様々な生理作用を有しています。有用な作用として、病原菌の定着阻害、免疫系の活性化、ビタミンの産生などが挙げられ、有害な作用として、腐敗産物や発がん物質の産生、各種腸疾患へ関与が挙げられます。
このように、腸内フローラはヒトの健康と密接な関係があります。ヒトに有用な働きをする菌を優勢に、ヒトに有害な働きをする菌を劣勢に保つことが、私たちの健康管理の上で大切であると言えるでしょう。

 

腸の働きのまとめ(腸内環境を如何にして良くするかで決まる)
① 免疫力が上がる。(アンチエイジングにも有効)
② 様々な病気の予防になる。(ウイルスの侵入をブロック・活性酸素の害を抑制)
③ 病原菌や有害物質を体外に排出する。(下痢や嘔吐などの防御反応で排出)
④ 幸せ物質が増え、こころが元気になる。(セロトニンやドーパミンの原料を作る)
⑤ ビタミンをしっかり合成できる。(ビタミンBやビタミンKを合成する)
⑥ 消化を助ける。(良好な腸内フローラで便秘も解消。便秘は腸の不調のサイン)