統合失調症ってどんな病気?
統合失調症とは100人に1人弱が発症する病気で決してめずらしくない身近な病気です。
こころや考えがまとまりづらくなりそのため気分や行動、人間関係などに影響が出てきます。
統合失調症の症状でよく知られているのが、「幻覚」と「妄想」です。 幻覚とは実際にはないものをあるように感じる知覚の異常で、中でも自分の悪口やうわさなどが聞こえてくる幻聴は、しばしば見られる症状です。
妄想とは明らかに誤った内容を信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えのことで、いやがらせをされているといった被害妄想、テレビやネットが自分に関する情報を流していると思い込んだりする関係妄想などがあります。
こうした幻覚や妄想は、本人にはまるで現実であるように感じられるので、病気が原因にあるとはなかなか気づくことができません。周囲から見ると、独り言を言っている、実際はないのに悪口を言われたなどの被害を訴える、話にまとままりがなく考えもちぐはぐになる、人と関わろうとせず孤立し、自分の殻にこもることが多くなるなどがサインとして表れます。
早く治療を始めるほど、回復も早いといわれていますので、周囲が異変に気づいたときは早めに専門機関に相談してみましょう。また回復しても自己判断による治療中断はほとんどの場合再発します。再発を繰り返すごとに残遺症状(後遺症状)が進行して本来の社会機能が低下していきます。
陽性症状と陰性症状
健康なときにはなかった状態が表れるのを陽性症状といいます。
陽性症状の典型は、幻覚と妄想です。幻覚の中でも、周りの人には聞こえない声が聞こえる幻聴が多くみられます。
健康なときにあったものが失われることを陰性症状といいます。陰性症状は、意欲の低下、感情表現が少なくなるなどがあります。
統合失調症は、脳の様々な働きをまとめることが難しくなるために、幻覚や妄想などの症状が起こる病気です。ほかの慢性の病気と同じように長い経過をたどりやすいですが、新しい薬や治療法の開発が進んだことにより、多くの患者さんが長期的な回復を期待できるようになっています。
幻覚と妄想
統合失調症で多く現れる症状は幻覚や妄想です。幻覚とは実際にはないものが感覚として感じられることです。とてもはっきりと聞こえたり見えたりするために、脳の中だけで起きているとは考えにくいものです。
妄想とは、明らかに間違った内容を信じてしまい、周りの人たちが訂正しようとしても自分では受け入れられない考えのことです。自分には聞こえたり、感じられたりするのに、家族や友達、同僚、上司などの周りの人たちが皆「そんなことはない」と否定するときには、幻覚や妄想の可能性があります。
幻覚や妄想のサイン
- いつも不安そうで、緊張している
- 悪口をいわれた、いじめを受けたと訴えるが、現実には何も起きていない
- 監視や盗聴を受けていると言うので調べたが、何も見つけられない
- ぶつぶつと独り言を言っている
- にやにや笑うことが多い
- 命令、脅迫、干渉、指図するなどの声が聞こえると言う
統合失調症に多い幻覚や妄想の症状は、本人には現実味があってそれが病的な症状だとは気づきにくいものです。周りの人が気づくことが、早期発見の第一歩となります。家族や周囲の方に上述のようなサインがあることに気づいた時には、医療機関やどこの自治体にもある保健所や保健福祉センターなどの相談窓口に相談してみて下さい。
当院は都市型メンタルクリニックではありますが、全体の患者さまの約20%と比較的多くの統合失調症の方が通院されています。当院での通院治療によって急性期の不安定な状態から寛解した方や病状が安定してデイケアなどを利用して社会参加を果たした方や現在目指している方まで様々な方が現在通院されています。
統合失調症の治療は薬物療法と心理社会療法を組み合わせて行います。
治療の目標
- 幻覚や妄想などの症状を軽くする
- 記憶、判断、注意などの認知機能の障害による社会生活機能が低下するのを防ぐ
- 回復後は再発しないように維持する
薬物療法と心理社会的な治療は車の両輪のようにどちらも重要で組み合わせて行なわれます。
統合失調症は、脳の様々な働きをまとめることが難しくなるために、幻覚や妄想などの症状が起こる病気です。ほかの慢性の病気と同じように長い経過をたどりやすく再発を繰り返すこともあり薬をいつまで続けるのかは、個人差があり一口にはいえませんが症状の安定をみながら、減量や中止をはかっていきます。その判断は専門医でなくては難しいものです。
症状が安定してるからといって自己判断で薬を減薬した中止したりすることは再発を誘発します。「副作用がつらい」「薬をやめたい、減らしたい」などの悩みがあれば、遠慮せずに医師に相談しましょう。
精神療法やデイケアなどのリハビリテーション
- 心理教育(疾病教育や家族教育)
- 生活療法(デイケアなど)や作業療法
- 生活技能訓練(SST)
リハビリテーションも治療の一貫です。薬物療法だけでなく積極的に参加しましょう。
患者さまへの生活のアドバイス
患者さまにお願いしたいことは、主治医とよい関係を築いていただきたいということです。 統合失調症は、慢性に経過することが多い病気です。
短期間でなかなか病前のように回復しないことから、不安になったり待ちきれなくなったりし、病院を転々と変える場合が時々あります。
しかし、精神科の治療は個別性が高いものです。
医療者にとっては、その患者さまの病状の経過や薬物の効果を知っていればいるほど、またその患者さまの生活や家族について知っていればいるほど、その患者さまに合った治療が提供できます。
ですから、診断や治療に疑問や不安が生じた時に、すぐに主治医を変えてしまわないでください。まず主治医に質問や相談をしてみてください。
その答えに納得ができなければ、セカンドオピニオンを求めることもできます。
そうしたことを通じて主治医とよい関係を築き、統合失調症という病気に立ち向かうための仲間を増やしていくことが、よりよい治療へもつながっていきます。
当院では様々な社会資源を利用して安定した療養生活や社会参加を目指しています。精神通院公費負担制度や精神障がい者福祉手帳、障害年金の申請、障がい者自立支援法による支援区分認定、就労移行支援事業所や就労継続支援A型、B型事業所の紹介、介護保険での介護認定など多くの社会資源を利用できるように医師以外に3名の常勤の精神保健福祉士がその対応にあたってます。
出典:厚生労働省http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_into.html統合失調症動向加工して作成