早いもので1カ月が経過した。10月12日(水)大阪国際交流センターで「あなたと家族の大切なお金を守るために~精神科医から見た成年後見制度」の演題で90分間の講演を行った。天王寺区医師会の認知症等高齢者支援地域連携事業の一環としてである。

成年後見制度は介護保険制度と同じ2000年より始まった。明治時代の「大日本帝国憲法」に制定された時代にそぐわない「禁治産、準禁治産」制度に変わるものであり、これからの超高齢化社会にはなくてはならない制度といえる。しかしながら残念なことにまだまだ周知されていないし、利用も十分ではないようだ。介護サービスを受けるにしても何をするにしても昨今は”契約”行為が付きまとう。、契約する本人が認知症になって契約行為ができなくなれば厳密にいえば介護サービスが受けられない。配偶者や子供、兄弟がいて、代わりに契約をして凌いだとして介護サービスは受けられたとしても、大きな問題となることは金銭に関することであり、一般に思われているほどそう簡単にはいかない場合が多い。

先月初旬 私の母親のキャッシュカードの磁気が読み取れないと表示され、ATMの利用できなくなった。新しく発行するには母親本人が銀行に行って再発行の手続きをしなければならない。日々認知症が進みつつある母親が果たして自署出来るのかと不安を抱きつつ、後日私が付き添ってキャッシュカードの再発行の手続きを行ってきた。何とか母親は自署が出来き、無事に再発行手続きを完了した。もしここで銀行にも行く元気がない(寝たきりとか・・・)自署が出来ないほど認知症が進んでいる…ともなれば大変でなことである。初めて自分の身近で成年後見制度の利用が脳裏をかすめた。

世の中には(つい先日まで私も含めて・・・)銀行の届出印と通帳があれば本人でなくても普通に預金が引き出せると甘い認識の方も多くおられるのではないか?親子といえども本人以外の預貯金の引き出しは困難であるとの認識が必要である。(1日50万円を限度とするキャッシュカードでの引き出しは別にして)オレオレ詐欺などの事件もあることでしょうから~ 続く・・・・