更年期障害ってどんな症状があるの?
更年期障害は、閉経前後の女性に生じる自律神経失調症状と精神症状が相互に関係しあって起こる、不定愁訴(ふていしゅうそ)の総称と考えられます。
更年期になると、加齢に伴う卵巣機能の低下によって、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)の量が減り、これが脳の視床下部(ししょうかぶ)にある自律神経中枢に影響を及ぼして自律神経失調症を引き起こします。
また、この年代の女性を取り巻く家庭や社会環境の変化からくる心理社会的ストレスが大脳皮質‐大脳辺縁系(へんえんけい)に影響を与え、憂うつや情緒不安定などの精神症状を引き起こします。
- 自律神経失調症様の症状
- 脈が速くなる(頻脈)
- 動悸がする
- 血圧変動が大きくなる
- ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)
- 発汗過多
- 気分が優れない、不安で落ち着かない
- 仕事や家事が手につかない、大儀、億劫感がある
他にもみられる症状としては
頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、不眠、疲労感、口の渇き、のどのつかえ(のどの異物感)、息切れ、下痢、便秘、腰痛、しびれ、知覚過敏、関節痛、筋肉痛、性交痛、生理不順などがあります。
更年期障害は自律神経失調症状と精神症状が複雑に絡みあった病態と言えます。
更年期障害の程度は、本人の性格、精神状態、周囲の環境などから影響を受けます。まずは、生活習慣・生活環境の改善を図るのが基本です。更年期障害に対して婦人科では一般にホルモン補充療法(HRT)が行われる場合が多いですが、発がんのリスクや補充療法の止め時など課題もあるようです。様々な診療科を受診しても改善しない治療抵抗性の場合や身体的不定愁訴、精神症状などを主とする場合に向精神薬を中心として漢方薬などを駆使した薬物療法と精神療法を組み合わせて治療すると有効な場合が多くみられます。