統合失調症・家族・周囲の方に
統合失調症は患者さま本人にとっても家族の方にとっても、とてもつらい病気です。患者さま本人は「幻覚」や「妄想」におびえてらっしゃいます。家族の方も患者さまの症状にとても疲れておられます。
統合失調症は投薬やリハビリテーションで必ず症状は落ちついてきます。 心療内科・精神科に通うことは患者さまも家族にとってもとても重要なことです。早期発見、早期治療は予後にもたいへん関わってきます。少しでもおかしいと感じられたら心療内科、精神科を受診しましょう。
周囲の人にもわかる統合失調症のサイン
統合失調症に多い幻覚や妄想の症状は、本人には現実味があってそれが病的な症状だとは気づきにくいものです。周りの人が気づくことが、早期発見の第一歩となります。家族や周囲の方に以下のようなサインがあることに気づいた時には、相談窓口などに相談してみて下さい。
幻覚や妄想のサイン
- いつも不安そうで、緊張している
- 悪口をいわれた、いじめを受けたと訴えるが、現実には何も起きていない
- 監視や盗聴を受けていると言うので調べたが、何も見つけられない
- ぶつぶつと独り言を言っている
- にやにや笑うことが多い
- 命令する声が聞こえると言う
そのほかのサイン
会話や行動の障害
- 話にまとまりがなく、何が言いたいのかわからない・相手の話の内容がつかめない
- 作業のミスが多い
意欲の障害
- 打ち込んできた趣味、楽しみにしていたことに興味を示さなくなった
- 人づきあいを避けて、引きこもるようになった
- 何もせずにゴロゴロしている
- 身なりにまったくかまわなくなり、入浴もしない
感情の障害
- 感情の動きが少なくなる
- 他人の感情や表情についての理解が苦手になる
家族も病気についてよく理解して
統合失調症がどんな病気なのか知らないと、仕事に行けないのが病気の症状によるものだと理解できず「なまけている」などと叱って、患者さまの苦しみを増してしまいます。家族向けの勉強会に出たり、本を読んだりして、症状や治療についての知識を身につけておくとよいでしょう。
できる範囲で治療の援助をする
薬の飲み忘れがないように気をつけてあげたり、受診につきそって家庭での様子を医師に伝えたりといった家族の援助が回復の助けとなります。
自分を追い詰めない
家族が病気になると献身的に看病をしすぎて無理をしてしまいがちですが、あまり自分を犠牲にしすぎると患者さまも負担に感じるかもしれません。自分の時間を大切にしてリラックスすることも大切です。
「とてもそんな気持ちになれない」という場合は、家族会に参加して、同じ立場の人と話をしてみませんか。それもつらくてできないという場合はカウンセリングを受けて自分のこころをケアすることも考えてみませんか。
気をつけたいこと
統合失調症の人は対人関係に敏感なので、次のようなことをこころがけましょう。
- 批判的な言い方、責めるような言い方をしないようにしましょう
健康な人ならあまり気にしないようなことも、患者さまにはストレスになり、ときには再発の引き金にもなります。 - 患者さまの前でオロオロ心配することはしないようにしましょう
家族が心配になるのはしかたがありませんが「将来どうなるのか」「いつになったら働けるのか」など、患者さまの不安をあおるのはやめて、よい面を見つけて評価してあげるようにしましょう - 医師の治療を疑うような発言をしないようにしましょう
「この薬で本当に治るのか」「薬の量が多すぎて心配」など、患者さまに言うと不安にさせてしまいます。治療に疑問があれば、医師に相談するようにしましょう。
当院は都市型メンタルクリニックではありますが、全体の患者さまの約20%と比較的多くの統合失調症の方が通院されています。当院での通院治療によって急性期の不安定な状態から寛解した方や病状が安定してデイケアなどを利用して社会参加を目指している方まで様々な方が現在通院されています。
当院では様々な社会資源を利用して安定した療養生活や社会参加を目指しています。精神通院公費負担制度や精神障がい者福祉手帳、障害年金の申請、障がい者総合福祉法による支援区分認定、就労移行支援事業所や就労継続支援A型、B型事業所の紹介、介護保険での介護認定など多くの社会資源を利用できるように医師以外に3名の常勤と1名の非常勤の精神保健福祉士がその対応にあたってます。
出典:厚生労働省http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_into_sub2.html統合失調症動向加工して作成