これからの季節、これまで当たり前のように使ってきた三寒四温をあらためて紐解くと・・・何と厳密には中国北東部や朝鮮半島での「ことわざ」で、シベリア高気圧がもたらすその地の冬場の気象現象の事を意味するんですね! しかしながら体感的にもこれからの日本の季節にマッチングしている「三寒四温」はこれまで通りの認識や使い方で良しとしましょう。そんな言葉の意味より大事なこととして、精神科臨床に携わっている人なら誰もが感じている時候の変わり目、この時期ならいわゆる「木の芽どき」に精神の不調を来たす。安定している人が調子を崩す。不調な人がさらに不調となる。いろいろです。時候の変わり目の何が精神機能に影響するのか・・・今なら「三寒四温」の言葉通りの寒暖の揺さぶりが大きな要因なのだろう。冬の寒さに身を潜めていた樹木や草花が芽吹き、さらにこの時期、啓蟄(けいちつ)と言われ虫たちも動き始める。日照時間は日ごとに長くなり、気圧はめまぐるしく変動し、気温の揺さぶりはあるものの右肩上がりに上昇していく。これら一連の人間を取り巻く気象環境の急な変化そのものがストレスとなって精神機能にも揺さぶりをかけているのだろう。 この仕事をしながら時候の変わり目を迎える度に、人間も大自然の大きなうねり中ではかよわい、ちっぽけな生き物なんだなぁと思う。そしてさらに言うならば 冬から春へと穏やかな季節に向かう春先より秋から冬へとより厳しい季節に向かう秋口の方が、精神機能により大きく影響するのではないかと経験的に考えているがこれは果たしてどうなんだろう。一つの目安となる月別の自殺者数を調べてみた。あにはからんや3月~4月に最大のピークとなり、10月に小さなピーク、すなわち二峰性のグラフになっている。やはり「三寒四温」を迎えるこの時期は侮れない。気を引き締めて3月4月を乗り越えねば・・・!!